2013年7月28日日曜日

"自閉傾向"ってナニ??

盲傾向、聾傾向、肢体不自由傾向とは言われないのに、"自閉傾向"と言われることがある。
確かに自閉症は盲や聾のように医学的に診断できないので、傾向と言うことがあるのかもしれない。
しかし、自閉症には国際的に認められている診断基準があり、その診断基準に当てはまれば"自閉症"ということで、基準を満たさなければ"自閉症"ではないことになる。
では、いったい"自閉傾向"とはなんだろうか?

日本では"自閉症"と診断できる人は、医師に限られている。
もしかしたら、医師以外の支援者が診断できないため、診断基準を満たしている人に対し"自閉傾向"と表現しているのかもしれない。
また、医師の中でも自閉症について専門的に学んだ人でなければ、目の前にいる人の言動を客観的に捉え、その言動の背景にある自閉症の特性の部分を読み解くことは難しいと考えられる。
ましてや年齢が低い子どもの場合は、その言動が単に幼さからきているものなのか、未学習なのか、自閉症の特性なのか、がより一層判断が難しいと言える。
日本人特有の文化である"曖昧"や"先延ばし"によって、保護者にショックを与えないようにしているのかもしれないし、保護者の方が望んでいる場合もあるかもしれない。
"自閉傾向"と言う不思議な表現には、このような背景があると想像できる。

私は日本でも医師以外の人が、自閉症の診断を行えるようにするべきだと考えている。
もちろん、誰でも診断できるというわけではなく、自閉症について専門的に学んだ者が、ということである。

自閉症の人たちは、88人に1人の割合でいると言われている。
それだけ高い割合でいる自閉症の人たちの診断を医師だけで行うには無理がある。
ましてや日本全体で考えたとき、自閉症について専門的な知識と経験を持った医師が各地域にどれほどいるのだろうか。
診断の遅れは、療育の遅れにつながる。
早期療育の有効性は立証されており、専門的に学んだ者の中では常識になっている。
そのため、2歳前後で自閉症を診断できる検査も開発されており、実際に実施し、早期療育につなげて成果を上げている地域もある。
一方で周囲から気づかれず、自分で生きにくさを感じながら成長していき、大人になってから自閉症の診断を受ける人も多くいる。

私はどんどん自閉症の診断をつけていけば良いと考えているのではない。
診断することが大切なわけではなく、正しい診断を受けられることによって、当事者本人が周囲からの誤解から解き放たれ、必要な専門的な教育とサービスを受けられるようになるため、必要だと考えている。

"自閉傾向"という言葉は、日本の制度と文化の間で生まれたものだと思う。
医師でなくても、アメリカだったら十分に診断できるだけの専門性を持った支援者は、日本にもたくさんいる。
この人たちの持つ専門的な知識と経験は、日本に住む自閉症の人たちが踏み出す一歩目にも大きな役割を果たすと私は考えている。
どんなことでも最初の一歩は重要である。

過去に"診断"について書いたブログ→「自閉症スペクトラム障害への一本化」

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