4000本のヒット

大リーグのイチロー選手は、私たちに大事なことを教えてくれていると思う。
大記録である4000本のヒットを打った日、イチロー選手は「4000本のヒットを打つには、8000回以上は悔しい思いをしてきている」とコメントしている。
私たちはどうしても結果に目が向いてしまう。
記録の後ろには、努力や苦労があることに気が付けないことがある。
どのような記録も数字を積み重ねた結果である、と教えてくれているようだ。
突然、世界のイチローになったわけではない、と。

自閉症の人たちも何かができるようになるまでには、数多くの積み重ねがあった、と思っている。
本人たちの頑張りはもちろん、陰で支えたり、一緒に練習を重ねてきたりした保護者の人たちや支援者の人たちがいる。
長い年月をかけて、一歩ずつ歩んできた結果、できるようになった、というお話を保護者の人たちから聞かせていただくことがある。
そんなとき、やっていることは一人ひとり違うかもしれないが、その歩んできた歩数は誇れる数字であり、本人と同じくらい保護者の人たちも努力や苦労を重ねてきた数字だと思う。
中には結果だけを見て、コメントする人もいる、と思う。
でも、私はその結果の後ろにある歩んできた数と支えてきた人たちに敬意を持てる支援者になりたい。
本人や支えてきた人たちの努力の結果だ、と気づいている人間は必ずいる。

てらっこ塾の1本目のヒットは私が打った。
しかし、2本目、3本目のヒットは、私が打つのではない、と思っている。
次のヒットを打つのは、利用してくれる自閉症の人たちだ、と思っている。
私はイチロー選手のようなスーパースターではない。
だから一人でヒットを重ねていくことはできない。
1回サービスを利用してくれるたびに、ヒットの数が重なっていく。
そして気が付いたとき、大きな数になり、結果として地域が変わっているのだ、と思っている。
まだまだ遠い道のりではあるが、一つひとつが大事であり、どのヒットも同じ価値がある。
本人が変わるにも、地域が変わるにも、一つずつの積み重ねが必要である。

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