100号記念①「先輩ママと若いママ」

『てらっこ塾』を立ち上げて、半年。
なかなかうまくいかないことが多く、試行錯誤の毎日でした。
どちらかというと、大変なことが多かった日々でしたが、濃密な時間であり、多くのことを学ばせてもらったと感じています。
「地域に新しい自閉症の人たちのためのサービスを作り上げていく」という今までとは別の角度から、自閉症支援を見ることができたと思います。
そこで、半年が経って、私が感じたこと、気が付いたことを今回、紹介させていただきたいと思います。

<子どもの年齢による違い>
一言で言うと、子どもの年齢や学年が上がることと比例して、保護者の方たちの危機感が高くなっていると感じます。
小学生くらいの子どもを持つ保護者の方は、本人が学校に通えていることや学校で楽しそうに過ごしていることに満足している場合が多いと感じます。
卒業までまだ年数がありますので、卒業後の子どもの姿を想像することが難しく、また次々新しいことを覚え、成長している過程ですので、そこまで将来のことを考えたり、危機感を持たれていなかったりするのも当然だと思います。

しかし、子どもが中学生くらいになると、急に将来の不安や危機感を持たれる保護者の方が増えます。
それは「学校生活も残り半分を過ぎた」という事実に直面するからだと思います。
思春期になり、子どもが心身ともに落ち着かなくなり、身体が小さかったときは、親がコントロールできた行動も、それが難しくなること。
そして、小学生くらいまではあまり言われてこなかった子どものマイナスな面を耳にするようになることも影響していると思います。
やはり将来の進路が近くなってくると、学校の方でも現実的な話をしなくてはならなくなります。
ですから、積極的には触れてこなかった部分についても、目や耳にする機会が増えてきます。

これが高校生くらいになると、さらに危機感が増してきます。
一日、一日、卒業が近づいてきます。
学校でも現実的な話ばかりになります。
卒業後は今までのように学校が何でもやってくれて、守ってくれるわけではありません。
この事実に直面したとき、保護者の方は二手に分かれます。
「残り少ないから、今のうちに1つでもできることを増やそう」と思う人と、諦めてしまう人です。
(また意外にも、「卒業後は福祉施設に入れる」と思っている人も少なからずいらっしゃいました。お話を伺うと、誰も「福祉施設の利用者がいっぱいで、今後ますます利用できなくなる」「北海道はこれ以上施設は増やさない方針」という事実について教えてくれなかった、とおっしゃっていました。昔から道南には大きな福祉法人があったという歴史も影響しているのかもしれません)

子どもの年齢が低い保護者の方でも、将来を見据えて、「今、何をすべきか」と常に考えている人もいます。
その人たちに共通していることは、先輩ママの話を聞いた、成人した自閉症の人の生活を実際に見た、という経験があることでした。
やはり「成人期の我が子の姿をイメージさせてくれる人がいる」ことが、特に若い保護者の方たちに大きな影響を与えるのだと思いました。
「そんな知り合いいません」という若い保護者の方たちの声もお聞きしますので、どうにか先輩ママと若いママたちをつなぐ活動ができないかな、と思っています。

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1370】それを対症療法にするか、根本療法にするかは、受け手側の問題