2013年12月16日月曜日

助言通りにやっているのに・・・

「相談機関に通っているんですけど・・・」
「〇〇先生から言われたとおりにやっているんですけど・・・」

最近、このような保護者の方たちの"本音"をよく耳にします。
保護者の方たちは、みなさん我が子のことで必死です。
必死だからこそ、専門家に助言を求め、時間を割いて専門機関に通います。
しかし、その助言や方法通りにやっているのに、うまくいかない、状況が変わらない・・・。

私が知る限り、相談されている専門家の方たちは、豊富な知識と経験を持っています。
では、なぜ助言されたとおりに行っても、うまくいかないのでしょうか?

まず考えられるのは、「本人の実態が掴みづらい」という理由です。
自閉症の特性として、状況や環境によって見せる姿が異なる、ということがあります。
家で困っている行動も、専門機関に行くと行動として現れないということはよくあります。
自閉症の人たちは、状況や環境の影響を大きく受けますので、場所が変わってしまえば、行動も変わる場合があります。
ですから、目の前に子どもがいたとしても、保護者の方の話でしか行動を知ることができません。
自閉症の人たちの行動は、実際に行っている場面を見なければ、どんなに優秀な専門家であったとしても、正確に本人のことを知ることはできません。
影響を与えている状況や環境を見ないで、また本人の実際の様子を見ないで、専門家は助言をしなければならない、ということが理由として考えられます。

2つ目に考えられることは、「本人の変化が考慮されていない」という理由です。
助言は、あくまで助言を求められた時点での助言です。
本人の様子は日々変わります。
気分が良い日もあれば、悪い日もある。
昨日、できていなかったことが、今日できるようになる。
ある保護者の方は、何年もの間、専門家から言われたとおりのことを行っていた、ということがありました。
相談できる専門機関は限られており、相談と相談の期間が開いてしまうことはよくあることです。
支援は本人の様子に合わせて、柔軟に変化させていく必要があります。
ですから、相談した時点から時間が経ってしまうと、実態に合わない支援になっている場合もあります。

3つ目は、 「行動の背景には要因が複数関係している」という理由です。
例えば、人に対して手が出てしまうことを相談した場合。
手が出てしまった理由は、単に「嫌だったから」という感情的な理由だけではないと考えられます。
その背景には、拒否をうまく伝えられないといったこと、感情をうまくコントロールできなかったこと、衝動的な特性を持っていたり、過去の学習からやってしまったということがあるかもしれません。
行動のきっかけは1つかもしれませんが、行動に至る要因は複数あると考えることが一般的です。
ですから、決められた時間内に、その複数の要因を確認し、それぞれの要因に対し助言することは、現実的には難しいと言えます。

専門家を信じ、我が子のことを相談する。
でも、それでも変化がないことにショックを受けたり、「どうせ変わらない」と諦めたりする。
このような保護者の方たちは少なくないのでは、と感じました。
本人の真の姿は、実際の場面で、ゆっくり時間を掛けて確認していかなければ、見ることはできません。
本人に合った支援を行うには、本人の状態や成長に合わせて、柔軟に変化させていく必要があります。
決して専門家に力がないわけでも、子どもがダメなわけでも、自分自身の能力がないわけでもないということを、みなさんに知っていただきたいと思っています。

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