2014年1月16日木曜日

支援のレベルを下げることに抵抗する支援者

スケジュールやコミュニケーションカードの表示レベルを下げたり、数を減らしたりすることに抵抗感を持つ支援者は意外と多くいます。
活動の移行がスムーズにいかなくなったから、写真のスケジュールを具体物にしたり、提示数を3つだったものを1つに減らしたりする。
コロコロ変化させることは本人の負担にもなるので、頻繁に行うことは避けなければなりませんが、ときに本人の状態に合わせてレベルを下げていくことも大切な方法の一つだと言えます。

このような前の段階に戻すことに抵抗感を持つ支援者には、2つの誤解がある、と考えられます。

1つ目の誤解は、「前の段階に戻す=後退する」というものです。
実際、私が本人の状態を見極め、視覚的な手立てを前の段階に戻そうとしたら、「そんなことをしたらできなくなるじゃないか」と言われたこともあります。
しかし、考えてもみてください。
自閉症の人たちは、一度記憶したものは時間が経ってもしっかり覚えています。
長期記憶が優れている自閉症の人たちは、むしろ忘れることが苦手だとも言われています。
ですから、一度身につけたものを以前の段階に戻したからといって、できなくなるようなことは考えにくいです。
もし前の段階に戻してできなくなるのでしたら、前の段階に戻したことが問題なのではなく、今やっている段階が本人の状態に合っていない支援であった、と考えることが自然です。

2つ目の誤解は、「支援の段階を上げていくこと=成長」というものです。
確かに、今まで1ケタ同士の足し算しかできなかったのが、2ケタの足し算もできるようになる。
ひらがなの他に漢字も読めるようになる。
跳び箱が3段から4段跳べるようになる。
というようなことは"成長"だと言えます。
しかし、支援は段階を上げていくことが目的ではありません。
支援は方法であって、目的にはなりません。
支援があることで、本人の理解が高まったり、安心感が得られたりする先に目的があります。
より良い生活が送れることや新しいことを学べられることが目的になります。
ですから極端なことを言えば、支援の段階はどこだって構わない。
本人が理解でき、安心できるものだったら何でも良いのです。
支援の段階がより高い方が優れている、というようなことはありません。

特に視覚的な支援は高度なものになっていけばいくほど、本人の能力が上がっていることよりも、「レベルが上がっている」という印象を持ちやすい。
そんなことも上のような誤解につながっているのかもしれません。
ですから、自分が目指しているものは、本人の成長なのか、支援の段階を上げていることなのか、立ち止まって考えてみることは大切だと思います。

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