2014年2月20日木曜日

自閉症通訳士の仕事

昨日は「発達障害と私たちの違い~"自閉症"という国の人たち~」というテーマで、ある職場での研修会を行わせて頂きました。

「掃除をして」と言われると、他にも仕事があるのに何時間でも掃除をし続けている。
この様子を見た職場の同僚は「なんて要領の悪い人だ」と思ってしまう。
だから、「そんなに丁寧に掃除しなくていいから」と声を掛ける。
以降、それまで丁寧過ぎる程、掃除をしていた本人がゴミが落ちていてもすぐに掃除を終えるようになる。
また、その様子を見た職場の同僚は「"サボる"ことを覚えた」と再びネガティブな印象を持ってしまう。
結果的に、この人に仕事は任せられなくなるし、職場の人たちの中に不穏な空気が流れてしまっていました。

職場の同僚の人たちの気持ちも十分に理解できます。
やらなくてはいけない仕事は迫ってくる。
でも、同僚から見たら、トンチンカンな行動をしている。
そうしたら、どんな人でもイライラしてしまいます。
しかし、自閉症の人の捉え方を知ったあと、みなさんの反応が変わっていきました。

「掃除をして」と言われたから、本人は一生懸命掃除をしています。
本人は何も間違ったことはしていません。
ただ定型発達の私たちなら読み取れる「掃除の質」と、他の仕事を考慮して「どのくらい時間をかけたら良いのか」というメッセージを受け取ることができていなかったこと。
そして、本人は「"サボる"ことを覚えた」ではなく、「そんなに丁寧に掃除しなくていいから」という指示を字義通りに受け取っただけ。
サボっている人というよりは、むしろ指示されたことに一生懸命応えていた人とも言えます。

このようなお話をさせて頂いたあと、同僚の方たちから「それは悪いことをしたな」「サボっていたわけではなかったんだ」というような声が聞こえてきました。
私は「わかりやすかった」という声よりも、このような声の方が嬉しく感じました。

自閉症の人たちは、障害の部分が目に見えないので、誤解されやすいです。
上記のような出来事は、耳の聞こえない人の耳元で大きな声を出して、「なんでわからないんだ。イライラする!」と言っているようなもの。
耳の聞こえない人に手話通訳士の人が必要なように、自閉症の人にも自閉症通訳士のような人が必要だと思います。
通訳がお互いの文化を橋渡しし、円滑なコミュニケーションへと導いていきます。

昨日の研修会の中で、私は自閉症通訳士というような役割でした。
今度は、同僚の人たちが何を伝えたがっているのか、を本人に伝える仕事の依頼を受けました。
また、そのときの様子もお伝えできれば、と思っています。

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