2014年2月3日月曜日

自閉症の専門家よりも、子どもの専門家

「私、自閉症について全然勉強してなくて・・・」
と申し訳なさそうにおっしゃる保護者の方がいます。
私はそんなとき、決まって「そのために私たちがいますから」と明るく言うようにしています。

自閉症の特性を持っているお子さんがいるなら、自閉症のことについて知っておいた方が良いと思います。
でも、専門家のような知識や技能を習得する必要はない、と私は考えています。
自閉症は子どもの一部分であって、自閉症が子どものすべてではないからです。

時々、支援についての話がお互いの知恵比べのような状況になることがあります。
構造化が、個別化が、ABAが、環境の調整が、PECSが、SSTが・・・
子どもの話が中心なはずなのに、子どもの情報よりも、「こんなことも知ってます」というような専門用語のオンパレードってこともあります。

私は支援を組み立てていくときに、素晴らしいなと思う保護者の方は、自閉症について詳しい人ではなく、お子さんの専門家である人です。
子どもが好きなこと、過去の支援の経過と結果、長所に短所、性格など、あらゆる子どもの情報について的確に答えることができる人。
そんな子どものことを誰よりも理解している保護者の方は、自閉症の専門家にとって心強い仲間のような存在です。

自閉症の専門家は第三者だからこそ、客観的に支援を組み立て、実践することができるのだと思います。
また、自閉症の専門家になるには、個人差の多い自閉症の人たちですから、より多くの自閉症の方たちの支援に携わっていることが必須条件になります。
もちろん、子どもから成人した自閉症の人たち、幅広い年代の支援の実践も。

自閉症の部分ばかりに注目してしまうと、一人の人間としての本来の子どもの姿が見えなくなってしまうこともあります。
ですから専門知識や技能の習得に時間をかけるよりも、保護者の方には、まず子どもの一番の理解者になって頂きたいと思っています。
そのためには自閉症の専門家と言われる人たちが多くなり、保護者の方に自閉症の専門家と子どもの専門家両方を担ってもらう必要がないくらいにしなければならない、と考えています。
自閉症の専門家になれる人は多くいますが、子どもの専門家になれる人は唯一保護者の方だけですよ。

2 件のコメント:

  1. こちらのblogには初めてコメントさせていただきます。

    >私は支援を組み立てていくときに、素晴らしいなと思う保護者の方は、自閉症について詳しい人ではなく、お子さんの専門家である人です。

    実は、私の母も一時期迷っていて、「ねえ、お母さんも発達障害の本とか読んで勉強したほうがいいのかな?」と、確定診断が下りて間もない時期に、尋ねてきました。

    私はこう即答しました。「そんなものいらない。お母さんは私の専門家になって」

    母は「わかった」と言って、以来、私の素晴らしき支援者です。

    やはりこのような関係が理想なのですね。改めて、自信が出ました。

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    1. 白崎やよいさんへ

      エピソードを教えて頂き、ありがとうございます。
      実際に、そのようなやりとりがあったのですね。

      お母さんが迷っていたときに、白崎さんの「私の専門家になって」という一言が大きな後押しになったのだと思いました。
      自分の娘から「私の素晴らしき支援者」と言ってもらえるお母さんのことを、支援者の立場、そして親という立場から見ても、羨ましく思いました。
      また、お母さん自身も、白崎さんのことを理解しようと、努力されてきた様子が伝わってきました。

      確定診断が下りて間もない時期に、迷っていた白崎さんのお母さんと同じように、どのように発達障害を持つお子さんと向き合っていけばよいか、迷われている親御さんたちがいると思います。
      今回の白崎さんのエピソードは、そんな迷われている親御さんたちへの道標になるようなお話だと感じました。

      自閉症の専門家は、様々な支援方法の選択肢を提示することができます。
      お子さんの専門家は、提示された支援方法から、我が子にあった支援方法を選ぶことができます。
      このような役割分担ができる関係性が、支援者の立場からしても理想だと言えます。

      「私の専門家になって」という一言から、実際に「私の素晴らしき支援者」となったというエピソード。
      このエピソードを知ることができたことは、私にとっても自信につながります。
      白崎さんの貴重な経験を教えて頂き、ありがとうございました。

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