2014年4月4日金曜日

就労支援、あなたはどっちの考え方?

将来の就労に関して心配されている親御さんは多く、「学校を卒業後、働くにはどのような力を身につけておけば良いですか?」と相談されることがあります。
それに対する私の答えはこうです。
「マニアックな力を身につけましょう!」です。

就職に対する考え方には、大まかに分けると2通りあると思います。
それは「就職口が広がるように、いろいろな技能を身につける」というのと、
「ある一点の技能を深く身につける」というものです。
私の考え方は後者になります。

いろいろな技能を身につけると、就職できる場所が増えていくと思います。
例えば、料理ができるなら飲食店で働ける可能性が出てきますし、レジ打ちができるならコンビニやスーパーなどで働けるかもしれません。
しかし、このような方向性で就労支援を行うには、頭に入れておかないといけないことがあります。
それは「時間」と「ライバルの増加」です。

「時間」というのは、「就職するにはあれも必要。これも必要」というように幅広く技能の獲得を目指すため、時間が足りなくなってしまうということです。
自閉症の人たちは、見たり、聞いたり、想像したりして自然に適切な方法を学ぶことが苦手なため、個別指導が必要になります。
また特別支援学校に通う子どもなら18歳まで、大学や専門学校に通う子どもでも22歳くらいまでに就労に必要な技能を身につける必要があります。
このように限られた時間で、ある程度の技能を身につけておく必要があるので、時間が足りなくなる可能性があります。

「ライバルの増加」は、一言でいうと、「多くの人ができる仕事は、それだけライバルが多くなる」ということです。
現代の厳しい社会では、「同じ仕事ができるなら、自閉症じゃない人を雇おう」と思う経営者が大部分なのが実際のところです。
ですから、あらゆる技能を身につけることは就職口を広げることになるかもしれませんが、それだけライバルが多くなることを意味しています。

私が長年、自閉症の人たちと接して感じることは「一点集中型を活かした就労支援」の有効性です。
自閉症の人たちに「幅広い技能を身につけなさい」というのは、彼らの"好み"には合っていないと思っています。
例え定型発達の人たちが自然にできるようなことができなかったとしても、何か1つでも秀でているものを持っていれば、働くことができると私は考えています。
「とにかくズボンの裾上げなら完璧」でしたら、衣料品店で働くことができるでしょう。
「商品を紙で包ませたら、彼女の右に出る者はいない」というのでしたら、デパートで働けるかもしれません。
「機械の解体なら大の得意」でしたら、リサイクルの仕事もあるでしょう。
「ひよこのオス、メスを瞬時に見分けられる」というのでも、働ける場所は限られますが、誰にでもできるものではありませんので、特定の業種の人たちには重宝される可能性があります。

「コミュニケーションがうまくとれない」
「長く働くことができない」
「1つのことしかできない」
でも、「あることをやらせたら誰にも負けない」という方が、自閉症の人たちの学び方に合っていますし、就職できる可能性が高いと思います。
また、就職したあとも、「これが完璧にこなせるなら、今度はこんな仕事も任せてみるか」ということも現実にはよくあることだと考えられます。

自閉症の人たちに対する就労支援は「マニアックな技能を身につける」というのが私の考え方、方向性です。
このような方向性ですと、限られた時間で、例えば高校3年間でとことんズボンの裾上げだけを練習し、技能を深めていくことも可能になってくると思います。
是非、本人たちの好みを生かしたマニアックな技能を身につけていきましょう!

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