2014年4月12日土曜日

共通する部分から本人の"クセ"を見抜く

新しい出会いの時期。
私も仕事を通して、新しい出会いが増えています。
そんな新しい出会いのきっかけは、保護者の方からの依頼がほとんどです。
「〇〇ができないので、できるようになってほしい」
「〇〇という行動に困っている」

私の仕事の場合は、特定の技能の獲得や特定の行動の軽減など、依頼が具体的で、どうすれば良いのかが明確です。
でも、最初にその本人と会うときには、あまり依頼された部分のみに注目し過ぎないようにしています。

この前来た依頼は「片づけられないことをどうにかしてほしい」というものでした。
部屋の中に入ると、お世辞にもきれいな部屋とは言えませんでした。
保護者の方の依頼もそうですし、本人の部屋の状態もそう。
部屋の片づけ方の学習をする必要があることは明確でしたが、すぐに片付けの学習はやりませんでした。

もちろん"いきなり学習"というよりも"人間関係を築く"必要がある、という理由もあります。
でも、それだけではなく、学習を始める前に、本人の"クセ"を見抜く必要があるからです。
自閉症の人たちは、同じ"自閉症"という特性を持っていますが、その表れ方は一人ひとり異なっており、個人差が大きいと言われています。
ですから、まず初めに、その本人だけが持っている捉え方や学習の仕方、注意の向け方、興味関心について知る必要があります。

本人に片づけについて尋ねてみると、本人は片付けの必要性を理解しており、実際に片付けも定期的に行っていました。
しかし、時間が経つと、元の場所に片づけなかったり、そのままにしておいたりして、どんどん部屋が汚れていくとのことでした。
ここまでの情報だけで支援を進めると、「一日の中で片付けの時間を作ろう」とか、「わかりやすいように棚に片づける物のラベルを貼ろう」という具合に、『THE自閉症支援』みたいなことしかできません。

ですから、私は他にも家での様子、学校での様子などについても尋ねました。
そのような会話を行っていく中で、
「洗濯洗剤をめもりに合わせて入れようとして、めもりから少ないときは良いが、めもりから少しでも多くなってしまうと、面倒に思えて量に関係なく洗剤を入れてしまう」
「お小遣いを計画的に使おうと月の始めはしているが、中旬頃になると、気が付いたら全部使っている」
「友だちと会話しているときも、最初は丁寧にまとめて話ができるものの、途中からイライラしてぶっきら棒な言い方をしてしまう」
というような状況がわかりました。

これらの話に共通していることは、「手順が増えてくると、思考や行動を止めようとする」ことです。
ですから、この方を支援するとき、頭に入れておかなければならないことは「とにかくシンプルに」ということです。
例えば教科書類なら、今は机から離れた棚の中に片づけられていますが、これでは教科書を持って、机に行き、勉強したあと、再び机から離れた棚まで行く必要があります。
これだと、途中で「面倒くさい」という気持ちが起き、そのまま机の上に置きっぱなしになる可能性が高いと思われます。
実際に、勉強に使ったと思われる教科書や参考書類は、机の上や床に散乱していました。
でも、使っていない過去の教科書や参考書はきちんと棚の中に片づけられていました。

ですから、この場合、勉強に関係するものは机の側に配置することが良いと考えられます。
「準備→移動→勉強→移動→片づけ」という手順を、「準備→勉強→片づけ」というようにシンプルな手順に変えます。
使う物と場所を一緒にすることで、「次することは何だっけ」というような思考の回数を減らし、直感的に行動できるような部屋の配置にすることが、結果的に部屋が片づけられることにつながると考えられます。

基本的な自閉症支援の押さえは重要ですが、その基本に深みを持たせるには、やはり本人の"クセ"を見抜くことだと考えています。
そのためにも、様々な角度から本人の話や行動を聞き、共通する部分から本人の"クセ"を見抜くことが大切になってきます。

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