2014年4月16日水曜日

「好きなこと」と「仕事」は別なのか?

当事者の方から就職について相談を受けることがあります。
「自分にはどんな仕事が向いているのか?」というような相談の場合には、その方の興味があること、また得意なこと、心地良いことなどから一緒に考えるようにしています。
しかし、「自分は〇〇という仕事がしたい」と明確な目標を持っている方からの相談の場合、私は悩むことがあります。
希望している仕事がその方の持っているスキルを活かせるものであれば、何も悩むことはありません。
でも、中にはその方の興味関心とは合っている仕事ではありますが、スキルに注目した場合、苦手な部分や難しい部分がある、と考えられるときには悩んでしまいます。

当事者の方たちに「やりたいことと仕事は違う」ということを明確に伝えるべきだ、とおっしゃる専門家の方たちは多くいます。
支援者の中にも、「あなたは〇〇が苦手じゃない?」「休まずにその仕事を続けられるの?」などと言って、現実に目を向けさせようとする人もいます。
確かに当事者の方の中には、自分の興味関心に注目がいっており、客観的に自分の持っているスキルと仕事で求められるスキルとの比較ができていないこともあります。
しかし、だからといって「あなたの希望している仕事は無理ですよ」などというようなことは、私には言えません。

自閉症支援の基本は、彼らの"興味関心を活かす"ということです。
興味関心があることに対して、強力で、持続的な注意を向けることができます。
また興味関心があること自体が、強力な動機づけにもなります。
このことは自閉症の人たちの強みであり、仕事に関しても活かすべき特徴であると考えています。

また支援者や専門家の意見でその方の仕事、進路が左右されて良いのか、という点に疑問があります。
どんな仕事であっても、自分の得意なスキルばかりで成り立つ仕事はないと思います。
どんな仕事の中にも自分の得意なスキルを用いる部分もあれば、苦手なスキルを用いる部分もあります。
いくら周囲が「その仕事は無理」と思っていても、実際に働いてみたらうまくいったりすることもあると思います。
働く前から、「その仕事が向いているかどうかなんて誰にもわからない」というのが、私の考えです。

その方が持っている「この仕事がやりたい」という思いを否定することよりも、「こんな仕事がありますよ」というように提案し、少しでもその思いを活かせるような支援を行っていきたいと私は考えています。

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