2014年7月8日火曜日

"かにかま"の支援を見抜くには?

以前の職場で尊敬できる先輩が、「大久保くん、"かにかま"みたいな人が増えているからこそ、本物の"蟹"にならなくてはならないよ」と話してくれていました。
つまり本物の専門家を目指せ、ということを"かにかま"の例えで教えてくれていました。
この先輩は、自閉症の専門家ではありませんが、その道では素晴らしい技術と発想を持って縦横無尽に活動されている人です。

自閉症支援においても、"かにかま"の支援だと感じることがあります。
その"かにかま"の支援に共通していることは、支援の根拠が"経験のみ"であることです。
「過去の〇〇くんの支援でうまくいったから」などと、経験を元に支援を組み立てている。

支援の根拠を経験のみに頼ってしまうと、その支援者しか支援ができなくなってしまい、一貫した支援を継続して受けられなくなってしまいます。
支援者が変わるたびに、支援の方法や考え方が変わってしまったら、本人と保護者が振り回され、結局中途半端な支援、スキルしか身につかない危険性があります。

また、支援の基本は「アセスメントから始める」と「個別化」です。
本人の支援は、本人からのアセスメントを基にし、個別化する必要があります。
他の人にうまくいった支援は、その人に合う支援であって、他の人に合うとは限りません。

支援の根拠は、「自閉症に関する知識」と「実証された理論」です。
常に自閉症の特性を踏まえ、実証された理論を根拠にし、支援を組み立てていきます。
そうでなければ、思い付きの支援になってしまいます。
自ら修正することが苦手な自閉症の人たちは、思い付きの支援をそのままの形で受け取ってしまい、あとからの修正に苦しむこともあります。

"かにかま"の支援を見抜くことが、日本の自閉症支援の質の向上へとつながっていく、と考えています。
"かにかま"を本物の蟹だと思って食べていれば、いつまで経っても"かにかま"を食べ続けるしかありませんし、どんどん"かにかま"ばかりがはびこってしまいます。

ここで簡単に"かにかま"の支援を見抜く方法をお伝えします。
支援が目の前に来たら、「この支援(アドバイス)の根拠はなんですか?」と尋ねることです。
本物の蟹でしたら、「北海道近海の海で取れた」とか、「〇〇という蟹の種類で・・・」など、きちんと分かりやすく説明してくれます。
もし本物の蟹でなければ、「日本海側で取れたと思います」「けっこうおいしかったですよ」などと、しっくりこない返事がくると思います(笑)
また繕っていても詳しく聞いていくと、だんだん言っていることが矛盾してきます。

現実には「根拠はなんですか?」などと直接的な質問はできないと思いますので、「私も勉強したいので、どうしてそのような支援になったのか教えてください」とか、まろやかに尋ねてみてください。
本物の蟹を提供している人は、きちんと分かりやすく説明してくれます。
安全で、安心できる美味しい蟹を子ども達に届けるためには、保護者の方たちの力が必要です。
支援者に良い意味で緊張感を与えることも、今の日本の自閉症支援には欠かせないと感じています。
蟹は荒波の中を、何年もかけて成長するから、身の詰まった美味しい蟹になるのです。

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