2014年8月28日木曜日

自閉症の人に見られる価値観の形成の仕方の特徴

いろいろな影響を受け、人は自分の中に価値観を形成していくのだと思います。
過去に体験したことだったり、親から教わったことだったり。
本や人との出会い、所属する社会の文化の影響などもあるでしょう。
個人の価値観は、さまざまな事柄に影響を受けながら変化し続け、また年齢によっても、社会や時代によっても、変わっていくものだと思います。

自閉症の人と接していて感じるのですが、この"価値観"について定型発達の人との違いを感じます。
それは「同一性」と「揺らぎの少なさ」です。

自閉症の人とお話をしていると、親御さんとまったく同じことを言っていたり、特定の支援者の考え方や本に書いてあることに基づいて動いていたりすることが、手に取るように分かることがあります。
例えば、お母さんが否定するものを子どもも嫌うことがあったり、特定の支援者の支援方法以外を「私には絶対合わない」と言って拒否したり。
言い方や口調まで似ていることもあります。
それ自体は何ら問題のあることではありませんが、あまりにも影響を受けた人や言葉、考え方と一緒であることに定型発達の人との違いを感じます。

定型発達の人も同じように影響を受けますが、すべてがその人や物と一緒であるということはありません。
例えば、定型発達の人の場合、Aさんの言ったことと、本に書いてあったこと、そして過去の体験からそれぞれ影響を受けます。
また影響の受け方にも幅があり、Aさんの言ったことは10%、本に書いてあったことは2%、過去の体験は50%というようにさまざまです。
ですから、一人ひとりの価値観は異なっており、多様な価値観があるのだと思います。
しかし、自閉症の人は、例えば親御さんの言動からの影響が90%というように大きなウエイトを占めることがあり、そのため親御さんの価値観とほぼ同じということがあるのだと思います。

また「揺らぎの少なさ」も実際のセッション等の中で感じます。
一度形成された価値観を変えることがとても難しいです。
「こういう価値観もありますよ」と提案してみても、「いや、私はこの価値観でいきます」というように。
年齢や社会、状況などで変化することも少ないです。

これらの価値観に関する違いは、複数の情報を整理することや比較すること、変化に対応することが苦手だったり、同一性を好むことや興味関心への強力な注意の向け方だったりする特性が背景にあるのだと思います。

先日の研修でも、「柔軟性のカリキュラム」の重要性が幾度も強調されていました。
身近にいる存在や権威のある人の言動に大きな影響を受けやすく、一度自分の中に形成した価値観を変えることが苦手な自閉症の人もいますので、年齢の低いうちから様々な人、支援者と接する機会があり、多様な価値観を知ることができれば良いと思います。
また年齢の高い人の場合には、
◎自分の価値観に大きな影響を受けている人や物を明らかにし、それを自分で認識すること
◎価値観は1つではないこと(人それぞれ違った価値観を持っている)
◎自分と異なる価値観があっても良いこと(否定はしない)
◎価値観を変えることは悪いことではないこと
などの学習を行い、今の価値観に近い価値観を紹介しながら(変化が少ないように)、少しずつ価値観の幅を持てるように導き、柔軟的な思考や言動へとつなげていくことが大事だと考えています。
もちろん、本人や周りの人が、その価値観のために生きづらさを感じている場合のみ取り組みます!

夏から秋へと移りつつある函館

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