当事者は本当に啓発活動を求めているのか?

自閉症に関する啓発活動は、「社会に正しい自閉症の理解を求めていこう」という目的で行われる。
ということは、やはり社会の中では、自閉症の理解が進んでいないってことになる。
では、社会の中で自閉症の理解が進んでいないことに誰が一番困っているのだろう?

私のところにも"困っている"自閉症の人たちからの連絡が入る。
でも、誰一人「社会からの無理解で困っているんです」という相談は受けない。
もちろん、私は発達障害者支援センターなどのような公的な機関ではないので、このような相談が来ないのかもしれないが。

「親子関係に困っています」
「就職できなことに困っています」
「友だちとうまくつきあえないことに困っています」
「会話が続かないことに困っています」
「余暇の過ごし方に困っています」
「不適切な行動がやめられなくて困っています」

てらっこ塾を利用してくれる多くの人は、自分自身の"今"の生活に悩んでいる。
そして、自閉症に対する社会の無理解ではなく、ごく近い、日常的に接する人たちに"今"、理解されないことに困っている。

当事者の人たちは、社会の無理解に苦しんでいるのではない。
本当に困っていることは、もっと自分の近くにある世界。
彼らは"今"の生活に困っている。

「社会のみなさん、自閉症について正しい理解をしてください!」
というよりも、
「今すぐにでも生きやすい生活が送れるようにしてくれ!」
これが多くの当事者の心の叫びではないだろうか。

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