福祉サービスの利用格差が広がる

来年度以降、就労支援事業B型の新規利用が難しくなると、地元の親御さんたちが言っていました。
今、学校に通われていて、特に知的障害を持っているお子さんの親御さんは、とても心配されています。
でも、以前から、このような噂もありましたし、地域の状況を見ても、いずれB型は定員いっぱいになることはわかっていましたので、私の感想は「とうとうきたか」という冷静なものでした。

知的障害を持つ方たちにとっては、安心して仕事をするにはB型が必要であり、もし利用することができなければ、生活の大半を家で過ごすことになります。
ですから、必要な人が利用できるような状態でなければならないと思います。

本当に必要な人が利用しているか、と言ったら疑問に思うことがあります。
本来ならA型を利用できそうな人が、B型を利用"し続け"ていないか・・・。
これはA型でも同様なことが言え、一般就労できそうな人がA型を利用"し続け"ているのでは、と思うこともあります。
(もちろん、ステップアップとして利用している方は良いと思っています)

他の地域はわかりませんが、「安全に、安全に」という方向性が、その人が持っている本来の可能性を狭め、より負荷のない就労へとつながっているのではないか、というのが私の見解です。
知的障害がない方や軽度の方は良いかもしれませんが、しわ寄せがどんどんより支援の必要な方たちへと行っているように感じます。

福祉サービスは、お金が見えにくいものです。
福祉サービスを維持しているのは税金であり、資源も、人材も、当然限りがあります。
誰かがそのサービスを使っているときは、別の人はそのサービスを使えないということです。
本当に必要な人へ、必要なサービスが届けられるには、頑張れる人が頑張る必要があるのです。
今は支援が必要で利用している人も、いずれ支援の量を減らしていき、その空いた分を必要な人へと分けて欲しいと思っています。

私は施設職員だった頃、知的障害が重い方々と主に接していました。
もし彼らにサポートがなかったら、日中することがなく、ただただ時間を消耗しているようになるのでは、と感じていました。
日課に"働くこと"があることにより、生活のリズムができ、自身の健康維持と社会貢献ができるのだと思います。
何もすることのない時間の不適応行動のリスクも減ります。
ですから、知的障害が思い方にとっても"働く"ということは重要なのです。

「今、利用できるから良いや」と言って、将来への備えを先送りしていたこと。
そんな将来が来ることを真剣に伝えてこなかったこと。
そして、より自立的に働けるような積極的な支援をしてこなかったこと。
反省すべき点が多々あるのだと思います。

私は、その人の持つ可能性を信じ、伸ばしていけるような支援を続けていきたいと思います。
そして、今、福祉サービスを利用している人が、今度は福祉サービスを支える存在へと変わっていけることを目指します!
必要な人が必要なサービスを受けられ、みんなが充実した毎日を送られるように。

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