取り組みを始める前には、「目的」と「ゴール」を伝える

取り組みを始める前に、目的を伝えることは大事です。
「何のため、この取り組みを行うのか?」
「どんな苦手さがあり、それを改善することで、どんなポジティブな結果が待っているか?」
をきちんと理解してもらいます。
何のためにこの取り組みを行っているのかがわからなければ、当然意欲も湧きませんし、持続しません。
また「意識が向いていないと学習効率が悪くなる」とマイナス点もありますので。

この目的を伝えることと同じくらい大事なことが、もう一つあって、それは「ゴール」を具体的に伝えることです。
例えば、「5回連続して、一人で登校できたら目標達成」とか、「家を出て、グループホームに入居できたら終わり」とか。
とにかく“終わり”を明確に伝えることが大事です。
それでなければ、「いつ終わるのか」が分からなくて不安にさせてしまったり、次々、新しい取り組みをやっていたら、彼らが苦手な変化のボディーブロー状態にしてしまいます。
「いつになったら終わるんだ!」
「いつになったら変化がなくなるんだ!」
というような叫びを聞くことがあります。

そして何よりも、「支援が一生続く」と思ってほしくないのです。
支援の目的は自立度を上げることです。
完全に自立できる人は自立してもらい、完全な自立が難しい人は少しでも自立度を上げて、支援を減らしていく。
そうすることで、本当に支援が必要な人に、"人"と"お金"と"資源"を使ってもらう。
支援は椅子取りゲーム状態なので、一人の人が椅子に座り続けている限り、他の人が座ることができなのです。
だからこそ、支援には期限があること。
支援者から自立するために支援があることをしっかり理解してもらいたいのです。
(ここが曖昧だと、支援を受けること自体が普通になってしまい、必要のない支援を減らすことでさえ、「支援が減る=不安」になってしまう人もいるので要注意です。つまり支援が自立を妨げることもあるのです)

特に発達障害の人たちは、発達"しない"人たちではありません。
取り組みによっては、どんどん発達していけるのです。
発達していける部分と発達することが難しい部分。
支援には、この2つの側面に対するアプローチがあることを忘れてはいけません。
発達していける部分には支援を受けながら、どんどん自立していくことを目指す。
そして、どうしても変わることが難しい部分には継続的な支援を求める。
これが正しい支援のあり方です。

本当は成長できる、変わっていける部分なのに、同じ支援を受け続けている場合が多いようにも感じます。
それは支援者の手の中だけの人生になってしまう危険性があります。
どんな人であっても「完全な自立を目指せ」とは言いませんが、少しでも自立できる部分があれば、その部分においては主体的な人生を手に入れることができるのです。
自立するために支援を利用してほしいと思います。
「支援があって初めて自分の生活がある」という順番があべこべな人生は歩んでほしくありません。

コメント

このブログの人気の投稿

【No.1358】体軸が育つ前の子と、育った後の子

【No.1364】『療育整体』を読んで

【No.1369】心から治ってほしいと思っている人はほとんどいない