頭を使うと、姿勢が崩れる男の子

「大久保さん、どうして僕がマジメに考えていないこと、わかったの!?」と驚く男の子。
「〇〇くんのことならお見通しだよ。だから、しっかり自分の頭で考えて、答えを出さなきゃね」と私。
どんな理由にせよ、しっかり脳みそを使って考えてもらえれば良いのですからね。
ネタばらしは、別の機会に取っておこうと思いました(笑)

どうして私が、彼の頭の中を覗くことができたのか。
それは簡単です。
彼は考えることに集中しだすと、姿勢が崩れるのです。
反対に、あまり考えずに、というか、クイズに答えるように反射的な場合、姿勢が崩れません。
考えれば、考える程、姿勢はどんどん崩れていきます。

自閉症の人は、身体面でも不具合を抱えていることが多いです。
私たちがほとんど意識しなくてもできるようなことでも、意識したり、注意を集中させたりしないとできないことがあります。
彼で言うと、姿勢の保持が難しい。
知的な遅れはありませんが、身体面での発達の遅れが見て取れます。
ですから、姿勢を保つことは自然にできることではなく、意識を集中させ、エネルギーを使うのです。

よく「勉強中の姿勢が悪い」という相談を受けます。
でも、身体面の発達が遅れている子の場合、あまり姿勢、姿勢と言わない方が良いと考えています。
それは姿勢に対する配分が多くなってしまうと、その分、勉強の力が下がってしまうから。
姿勢が崩れるということは、それだけ考えるということにエネルギーを使っているとも言えるのです。

勉強の目的は、学ぶことです。
姿勢を保つことではありません。
もし姿勢が保てないのなら、それはそれだけ別の機会に学び、トレーニングする方が良いと思います。
勉強はしっかりしてほしい。
さらに姿勢もきちんと、と言ったら、それは難しい場合がありますね。

冒頭の男の子の場合、勉強と並行して、身体面のトレーニングも行っています。
ですから、勉強中、姿勢が崩れてもOKなのです。
逆に、姿勢が崩れないのは、あまり考えていないということなので、こちらの方が問題ですね。
最初は、姿勢にもこだわっていた親御さんでしたが、背景を説明したら、今は理解し、納得してくれました。
どうしても、勉強の姿勢は気になりますよね。
私たちが子どもの頃は、家庭でも、学校でも、注意されましたからね。
でも、それは定型発達の子どもの話であり、姿勢が保てるような段階まで発達している身体を持っている人の場合です。
身体面の発達の遅れがある子の場合は、こういった固定観念を捨て、彼らの身体を想像することが大事だと思います。

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