2015年12月29日火曜日

家族の中心は自閉症の子なのか!?

今月、3件のお宅で同じ話が出ました。
これは「ここに書けってことかな」と思い、今年中に書いておきますね。
どんな話かといったら、「家族の中心は自閉症の子なのか!?」ということです。

ある親御さんは、定型発達の兄弟児に時間を割こうとしたら、某支援者から怒られたとのこと。
また、ある親御さんは、「介護や他の家族のこともあるから、この子の支援だけをやっていられない」と言ったら、「だから、お子さんは落ち着かないんです。このままでは犯罪者になりますよ」と批判され、さらに別の親御さんは、「そんなこと、普通の家ではできませんよ」というような環境的にも、労力的にも、現実とはかけ離れたアドバイスをされたとのこと。

まあ、よくあるんですよね。
こういう空想上のアドバイス。
兄弟児がいれば、兄弟児のことだってある。
また、介護もあれば、親御さん自身のこともある。
朝起きれば、学校まで送りだすだけでも一苦労。
そして、家庭のこともやり、仕事もあれば、それも行わなければならない。
自分だって休憩や息抜きをしなければ、壊れてしまう。
学校から帰ってきてからも目まぐるしく時間は過ぎていき、休日は休日で大変なこともある。
そんな家庭での営みの中で、可能な範囲で子育て、支援を行っていくのが、現実的なお話ですね。

「あなたが言うようなアドバイスをそのままやっていたら、誰が他の兄弟の面倒を見るんですか!?誰が買い物に行って、ご飯を作るんですか!?」っていうような支援者の助言。
支援者って、障害者中心の世界で生きているから、机上の空論というか、現実世界とは別の次元で話をしてしまうんですよね。
あなた達の支援の中心は、障害を持った人かもしれないが、家庭にしてみたら、家族の一人。
確かに、他の家族よりも、いろんな面で手が必要かもしれないが、決してその人中心に家族が成り立っているわけではないし、常に中心である必要もない。

ある親御さんは、素晴らしいことを言っていましたよ。
「社会は自閉症中心に成り立っているわけではないので、家庭の中も自閉症中心の世界にしてはいけないと思うんです。この子が勘違いしてしまって、将来、困るのはこの子だから」
こういったしっかりとした考えを持って、子育てされている親御さんは立派だと思います。
本当におっしゃる通りです。
社会は自閉症中心ではありません。
そして、今後も、自閉症中心の世の中になるなんてことはありません。

社会の中で生きていくなら、社会と同じ感覚で生活していく必要がありますね。
社会は多様な人間が、それぞれの役割を果たし、成り立っています。
発達障害の人たちからしたら、「定型発達中心の社会じゃないか」と言うかもしれませんが、定型発達の人だって多様ですよね。
国籍や肌の色、性別、趣味嗜好、財産だって、どんなカテゴリーで分けても多数派と少数派に分かれます。
結局、「自分たちはマイノリティーだ」と主張する人だって、分け方によっては多数派になりますね。
つまり、主義主張を通すための一つの材料にすぎないと思いますよ。

家庭の中だって、小さいかもしれませんが、そこも社会の一つです。
そこで、うまく生活できない人は、社会で自立して生活できるわけがありません。
ましてや、何でも自閉症の子中心に、などということは、本人の誤学習を助長し、自立を妨げますし、家族のバランスが崩れてしまいますね。
もちろん、「障害を持ったお子さんの支援、療育を頑張らなくてもいい」なんて言っているのではありませんが、他の家族も同じように大切なわけですし、やらないといけないこともありますので、一般的な家庭と同じ考えで良いと思います。

家族旅行を計画していたら、「まだ早い」とストップがかけられた、なんていう話も聞きます。
これって他人が口をはさむことですかね。
支援者と呼ばれる仕事をしているのなら、「どうやったらうまくいくか」が大事だと思いますが。

自閉症中心の家庭を求める支援者は、啓発でも自閉症中心の社会、地域を主張しますね。
そんな非現実的なことを主張しているから、一般の人たちからそっぽを向かれるんですね。
そろそろ気が付いた方がいいです。
社会は自閉症中心に成り立っているわけではないですし、社会の側も望んではいない。
社会には多様性があり、自閉症の人たちも、その多様性の中の一つとして生きていける方を目指すべきだと思いますがね。
多様性の社会に向かって、「"自閉症"の理解を」「"自閉症"に住みやすい社会を」なんてやるから、受け入れられないのです。

支援者を見る側も「この人は家族の中の一人として障害を持った子を見ているか。それとも、障害を持った子のみを見ているか」を見極める視点が大切ですね。
もし障害しか目に入っていない支援者だったら、その人は仕事として障害を持った人を見ている人。
社会の中で生きていけるような方向へと導くことのできない人なので、別の道を探すことをお勧めします。
ちなみに、3名の皆さんは、心の中のモヤモヤが晴れたようで、「家族の一人として子育てを頑張ります」と言っていましたね。
家庭も小さな社会です!

2 件のコメント:

  1. 私は長女に「家ではあなた(長女)が一番。次女は2番目だよ。でも次女には内緒だよ」と言い続けました。
    実際は手のかかる次女に時間は使われますが
    長女との信頼が崩れずに過ごせたと思います。支援学校に入学したときも
    旦那さんと長女の通勤、通学を考えて
    引っ越しをやめました。
    特別扱いは勘違いと誤学習をまねく要因になります。
    子育ては大変だったけれど
    今はたまに帰ってくる次女と家族仲良く楽しく暮らしています。

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    1. ななつぼしさんへ

      子ども達にとって最初の社会は「家庭」ですね。
      その家庭の中で、どのような生活を送るか、が本人にとっても、兄弟にとっても、思考に大きな影響を与えると思います。
      そういった意味では、きちんと長女さんに温かいメッセージを送り続けていたことが、今の家族の温かさにつながっているのかもしれませんね。

      福祉の世界も、教育の世界も、医療の世界も、特別支援に関わる人の中には、多くの兄弟児がいます。
      そして、そういった兄弟児の支援者に多く見られるのが
      ①何でも障害者中心に物事を考えてしまうこと(健常者が我慢)
      ②自分が満たされなかった気持ちを支援者になって癒そうとしてしまうこと
      ということです。
      こういった支援者は少なくないので、やはりどういった家庭環境で育ってきたか、が支援者像にも影響しているのだと思います。
      子どもにとって最初の社会が歪んでいたら、広い社会に出たときにズレが生じますね。
      ですから、最初の社会、家庭を"特別な社会"にしてはいけないと考えています。

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