2017年6月8日木曜日

出世欲を持つ支援者

どんな仕事でも、「出世したい」「有名になりたい」「地位や名誉が欲しい」という欲を持っている人がいるものです。
こういった立身出世を夢見ることは否定されるものではなく、それが仕事人、社会人として自分を高めていくための力になるのなら、大いに結構だと思います。


特別支援に関わる者の中にも、当然、このような想いを持った人がいます。
ただ特別支援という仕事は、何か物を売ったり、作ったりという具合に、数値や形で結果が表せるものではありませんので、出世欲を持った人は悶々とし、道を誤ることが少なくないようにみえます。


学校の世界で出世といっても、教頭、校長になるくらいで、他の大多数の先生は、地位も、給料も大差はありません。
指導や生徒を成長させるのが長けているから管理職になれるわけではなく、管理職試験を受けて、合格した先生が管理職になります。
しかも、ある程度、年数を重ねないと、管理職になる権利すら与えられない。
ということは、その数十年の間、目に見える形で出世したい人は待ち続ける必要があります。


福祉の世界の出世というのは、これまた管理職になるくらいのものですが、福祉施設の管理職は名ばかり店長のようなもので、社会的地位があるわけでも、給料が良いわけでも、講演会を開けるような場があるわけでもありません。
ですから、福祉系で立身出世をしたければ、講演会を開いたり、啓発したりして地域に顔を出す機会の多い&有名支援者と顔見知りになれる何とかセンターの仕事に就くか、自分で事業所を起ち上げ、代表になるかになってきます。
または、有名支援者と呼ばれる人の元に行き、出世の機会を伺う、暖簾分けを狙うという方法もあります。


以前から私は言っていますが、支援者というのはインチキ商売なのです。
支援者の力で、課題が解決できたのか、発達&成長できたのか、本当のところはわからないですし、確かめようがないのですから。
どの人にも、課題を解決する力、成長する力、発達する力、自然治癒力というものがあります。
その内なる力が発揮されることで、望ましい姿へと変化することができる。
そのきっかけに支援者がなれることもあるかもしれませんが、実際は、内なる力が発揮された瞬間に、たまたまその支援者がいた、ということもあるのです。
支援者が、その人の内側に入って動かすことはできません。
つまり、支援者にいくらウデがあろうとも、主体はその人自身です。
ですから、どこまで行っても、100%支援者の成果にはならないのです。


自分の成果を味わいたい人、おのれの立身出世を目指す人は、特別支援の世界と相性が悪いように思えます。
このような人は、同僚や管理職、親御さんや外部の人間に“見える支援”、“見せる支援”をする傾向があります。
仰々しい支援グッズを作るのも、横文字に、専門用語を多用するのも、周囲に見せるための支援。
そこに透けて見えてくるのは、子どもの成長ではなく、支援している自分の姿を見て欲しいという欲求です。
自分たちで組織を起ち上げ、自分たちの何とかメソッドを作り、資格や認定書、ライセンスのやりとりごっこをするのも同じこと。
子どもの成長だけを純粋に願い、未来の社会を担い、作っていく若者たちを育てる、という想いと使命感に満ち溢れている支援者であったら、組織や資格を作ったり、やりとりごっこをしたりする時間は、すべて子どものために使いたいと思うはずですから。


支援者は、知識と技術、経験に価値があり、お金が発生するのだと考えています。
ですから、これらを磨き、本人や親御さんが利用しやすいように、ニーズが満たせるようにしておくことが責務です。
自分の出世欲は第一に満たすべきものではありませんし、そのためにひと様の生活、人生を使ってはならないのです。
国立の支援学校に異動願いを出し、そこで授業の準備はしないで、とにかく論文を書くために生徒をモルモットのように使う人。
とにかく有名支援者に近づいて、おこぼれを貰おうとする人。
出世のために、見せる支援をやろうとする人…。


物やサービスを作り、それを売って、お客さんに喜んでもらおうとする仕事は、その行為自体がより良い社会になるための営み。
だから、目に見える成果と社会貢献が重なり合いやすく、出世欲が良い方向へ向かう原動力になり得る。
しかし、支援職というのは、その人との関わりの中に仕事があり、成果の決め手はその人自身の行動によります。
よって、支援者は出世欲がおのれを高める力にならず、それがあることで却って道を誤らせてしまう危険性があるのだと思います。


大きくなり過ぎた出世欲、立身出世を夢見たばかり、道を踏み外した支援者をみてきました。
出世欲が強い人、コントロールできない人は、支援職は止めた方が良いと思います。
また、見える成果でしか、自分の価値に気づけない人も。
誰に評価されるわけでも、誰に認められるわけでもなく、「未来の社会を作る子ども達、若者たちを育てる」という信念の元、コツコツと準備し、おのれを高めていける人、それに価値を見出せる人が支援職に向いていると思いますし、それが支援者という仕事が果たす社会貢献だと考えています。

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