発達のヌケを埋めたあと、やり残した発達課題へ戻る

ある親御さんから相談を受けました。
近頃、子どもが「これ何?」「あれ何?」「どうしてなの?」と質問攻めしてくる、と。


こういった質問攻めは、だいたい4歳前後に見られます。
相談を受けた子は、小学生で、しかも高学年。
親御さんは、「急に幼い子みたいになった」と心配していました。


しかし、こういった「幼い頃に戻る」姿は、珍しくありません。
特に、発達のヌケが埋まったあとに、やってくることが多いですね。
簡単に言えば、発達のヌケの育て直しが終わったあと、やり残していた時代に戻り、今度はそっちを育て治すのです、本人が。


上記の子の場合、4歳前後は落ち着いて成長できる、何かを学べるような状態ではなかったそうです。
当然、定型発達の子たちが辿るように、質問攻めは見られませんでした。


数か月間、発達のヌケを育て直し、脳の深い部分が埋まり育ったので、「じゃあ、あのとき、できなかった発達を」ということで、脳の上部の育て直しが始まったのでしょう。
こういった姿を見ると、本当に子どもの身体は賢いし、人間の発達する力は素晴らしいなと思います。
ですから、親御さんには「退行が始まったわけでも、精神的に不安定になったわけでもありません」とお話ししています。
4歳の頃、できなかった発達課題を、今、自ら育て直し始めたんですね。


言語以前の発達のヌケが埋まると、それ以降の発達のヌケを育て治そうとする動きが、子どもの方から見られることがあります。
こういった視点を持つことは大事だと考えています。


大きな子が質問攻めを始めると、問題行動と捉える人もいます。
そして、無視したり、視覚的にルールを教えたり、自分で調べる手段を教えたりします。
もちろん、質問を繰り返す子の場合、想像通りの返事があることを狙って質問を繰り返す他人をまきこんで安定しようとするパターンもあります。
そういった場合には、上記のような対処が必要なこともありますが、相談があった子のように育て直しを行っている場合もあるのです。
そんなとき、無視しても、視覚的にルールを教えても、育て直しは進んでいきませんし、質問攻めはますます激しくなるばかりです。
ですから、「もしかしたら育て直しが始まったのかも?」という視点が大事になってきます。


発達のヌケが埋まると、やり残した時期に戻り、発達課題をクリアしようとする。
そんな姿は、日々の関わりの中で見られる自然な姿です。
また、発達のヌケを埋める前には、心身の安定が入ります。
まとめると、心身がラクになる→心身が安定する→発達のヌケの育て直しが始まる→発達のヌケが埋まる→やり残した発達課題へ、ですね。


年齢から考えれば、障害という頭が強ければ、「退行?」「問題行動?」と捉えちゃいそうな姿も、その子の成長の物語、定型発達の子の発達課題と出現時期から読み解けば、伸びやかに発達しようとする姿に見えてきます。
その伸びを止めるのではなく、これも回数券を切ってもらう後押しが大事になってきますね。

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